倉庫や店舗が増えたり、棚の数が多くなったりすると、「どこに何がいくつあるか」が分からなくなりがちです。これを整理するのがロケーション管理と複数拠点管理です。このページでは、「拠点」と「場所(ロケーション)」の違いから、固定・フリーロケーションの使い分け、番号の付け方、在庫管理システムでの実践方法までをやさしく解説します。
ロケーション管理・拠点管理とは
ロケーション管理とは、在庫を「どこに保管しているか」という置き場所ごとに区別して管理することです。同じ商品でも「棚Aにいくつ」「棚Bにいくつ」と分けて数えることで、探す手間やミスを減らせます。
保管場所には、大きく 2つの粒度(レベル) があります。
- 拠点: 倉庫・店舗・事業所など、独立して在庫を運用する大きな単位。
- 場所(ロケーション): 1つの拠点の中での置き場所。棚・部屋・フロア・エリアなど、より細かい単位。
「東京倉庫」「大阪倉庫」を拠点で分け、その中の「棚A」「棚B」を場所で分ける——このように2段階で在庫を整理するのが基本です。
「拠点」と「場所(ロケーション)」の違い
| 拠点 | 場所(ロケーション) | |
|---|---|---|
| 粒度 | 大きい(倉庫・店舗・事業所) | 小さい(棚・部屋・フロア・エリア) |
| 役割 | 独立した在庫の運用単位 | 拠点の中での保管位置 |
| 例 | 東京倉庫、大阪倉庫、渋谷店 | 棚1-1、冷蔵室、2Fフロア |
| 在庫の考え方 | 拠点ごとに在庫・入出庫を分けて管理 | 同じ拠点の中で置き場所ごとに在庫を分ける |
どちらも「在庫を置き場所で分ける」点は共通ですが、拠点は運用そのものを分ける大きな区切り、場所は拠点内の細かい区切り、と考えると整理しやすくなります。
なぜ場所・拠点で在庫を分けるのか
置き場所ごとに在庫を分けておくと、次のようなメリットがあります。
- 探す時間の短縮: 「どの棚にあるか」がすぐ分かり、ピッキングや棚卸が速くなる。倉庫作業の中で「歩く・探す」時間は大きな割合を占めるため、ここの短縮は効きます。
- 欠品・過剰の把握: 拠点・場所ごとの在庫が見えるので、「A倉庫は不足、B倉庫は余剰」といった偏りに気づける。
- 誤出荷の防止: 正しい場所から出すことで、取り違えを減らせる。
- 棚卸の効率化: エリアを区切って数えられるため、棚卸の分担や循環棚卸がしやすい。
- 拠点間の在庫の融通: どこに在庫があるかが分かると、拠点をまたいだ在庫の移動・補充を判断しやすい。
- 先入れ先出しの下支え: 置き場が固定されていると、古い在庫の見落としが減る。→ 先入れ先出し(FIFO)とは
逆に、置き場所を分けずに「全体の合計数」だけを管理していると、在庫はあるのに現場で見つからない、といった問題が起きがちです。
固定ロケーションとフリーロケーション
場所の運用方式には、大きく2つの考え方があります。
| 方式 | 内容 | 長所 | 短所 |
|---|---|---|---|
| 固定ロケーション | 商品ごとに置き場所を固定する | 覚えやすい・迷わない・運用が簡単 | 在庫が減っても場所が空かず、スペース効率が悪い |
| フリーロケーション | 空いている場所に自由に置き、置いた場所を記録する | スペース効率が高い・レイアウト変更に柔軟 | 「どこに置いたか」の記録が必須。記録が崩れると探せない |
小規模・品目が安定している現場は固定、入れ替わりが激しく保管効率を追求したい倉庫はフリーが向いています。両者を組み合わせて、定番品は固定・季節品はフリー、とするハイブリッド運用も一般的です。フリーロケーションは記録が命なので、システムでの管理がほぼ前提になります。
ロケーション番号の付け方
場所には、構造に沿った体系的な番号を付けるのが基本です。
例: A-03-2 = Aエリア・3列目・2段目
- エリア(ゾーン): 建物・部屋・通路ブロックなど大きな区分(A、B、冷蔵…)
- 列(連): ラックの列番号(01〜)
- 段・間口: 棚の高さ・横位置(1段目、2段目…)
ポイントは、番号を見ただけで現場のどこか分かること。ピッキングリストをロケーション番号順に並べれば、そのまま最短の作業動線になります。将来の増設を見込んで、番号に余裕を持たせておくのもコツです。
拠点と場所の使い分け
「拠点で分けるべきか、場所で分けるべきか」は、次を目安に考えます。
- 別々に在庫を締めたい・在庫数を独立して見たい → 拠点で分ける(例:店舗ごと、倉庫ごと)。
- 同じ拠点の中で置き場所を整理したい → **場所(ロケーション)**で分ける(例:棚番、ゾーン)。
- 小規模で1か所しかない場合は、まず場所だけから始め、拠点が増えたら拠点で分ける、という段階的な導入も現実的です。
Excel・紙でのロケーション管理の限界
ロケーション管理はExcelや紙でも始められますが、規模が大きくなると次の課題が出てきます。
- 拠点・場所が増えるほど表が複雑になり、集計や検索に手間がかかる。
- 入出庫や移動のたびに手で書き換えるため、転記ミス・更新漏れが起きやすい。
- 複数人・複数拠点で同時に編集すると、最新の在庫が分からなくなる。
- 現場で「この棚にいくつあるか」をその場でスマホから確認しにくい。
特にフリーロケーションは「記録が正しいこと」が生命線のため、手書き・転記ベースでの運用はほぼ破綻します。拠点や棚の数が増えてきたら、在庫管理システムで仕組み化するのが現実的です。→ Excel在庫管理の限界
在庫管理システムでのロケーション・拠点管理
在庫管理システムを使うと、拠点・場所ごとの在庫を自動で分けて数え、入出庫や移動の記録もそのまま履歴として残せます。
クラウド在庫管理システム「クラプロ」では、拠点と場所を組み合わせて在庫を整理できます。
- 拠点: 倉庫・店舗ごとに在庫を分けて管理し、画面上で拠点を切り替えて記録・確認できます。商品マスターは全拠点で共通なので、拠点ごとに商品を作り直す必要はありません。→ 拠点の管理
- 場所(ロケーション): 「場所」を在庫項目として有効にすると、同じ拠点の中で棚・部屋・フロアごとに在庫を分けられます。事前のマスタ登録は不要で、作業を記録するときにその場で入力します。→ 在庫項目(場所・ロット・有効期限)
- 移動: 同じ拠点の中で在庫を別の場所へ移すときは、移動作業で移動元・移動先を指定して記録できます。→ 作業(入庫・出庫・移動・調整・棚卸)
- バーコードスキャン: スマホのカメラで読み取って、現場でその場で在庫を記録できます。
必要なときだけ有効にでき、不要なら数量だけのシンプルな管理に戻せます。
ロケーション管理に関するよくある質問
Q. ロケーション管理とは?
在庫を置き場所ごとに区別して管理することです。探す時間の短縮・誤出荷の防止・棚卸の効率化につながります。
Q. 「拠点」と「場所」の違いは?
拠点は倉庫・店舗など独立した運用単位、場所は拠点内の棚・部屋などの細かい区切りです。2段階で整理します。
Q. 固定ロケーションとフリーロケーションはどちらがいい?
小規模・定番中心なら固定、規模が大きく入れ替わりが激しいならフリー(記録はシステム前提)。ハイブリッドも一般的です。
Q. ロケーション番号の付け方は?
「エリア−列−段」(例: A-03-2)のように、番号から現場の位置が分かる体系にします。番号順=作業動線になるのが理想です。
まとめ
- ロケーション管理とは、在庫を置き場所ごとに区別して管理すること。
- 保管場所には、拠点(倉庫・店舗などの大きな単位)と、場所(ロケーション)(拠点内の棚・部屋などの細かい単位)の2段階がある。
- 運用方式は固定ロケーションとフリーロケーション。規模と入れ替わりの激しさで使い分ける。
- ロケーション番号は「エリア−列−段」など、見ただけで場所が分かる体系に。
- 置き場所で分けると、探す時間の短縮・欠品や過剰の把握・誤出荷の防止・棚卸の効率化につながる。
- 拠点や棚が増えてきたら、在庫管理システムで拠点・場所・移動をまとめて仕組み化するのが効率的。
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