「いつ発注すればいいの?」——その答えになるのが 発注点 です。在庫がこの数まで減ったら発注する、という合図のラインのこと。意味・計算の考え方・発注方式の使い分けを、やさしく解説します。
発注点とは
発注点とは、在庫がこの数量まで減ったら発注する、と決めておく「発注の合図」となる在庫量です。発注点方式(定量発注方式)の基準になります。
発注してから商品が届くまでには時間(調達リードタイム)がかかります。在庫がゼロになってから発注したのでは、届くまでの間に欠品してしまいます。届くまでの需要をまかなえるうちに発注するためのラインが発注点です。
発注点の計算式
代表的な計算式は次のとおりです。
発注点 = 調達リードタイム中の予想需要 + 安全在庫
- リードタイム中の予想需要: 発注してから入荷するまでの期間に売れる(使う)見込みの数量。「1日あたりの需要 × リードタイムの日数」で求めます。
- 安全在庫: 需要のばらつきや納品の遅れに備える予備の在庫。→ 安全在庫とは
計算例
- 1日あたりの平均出庫: 10個
- 調達リードタイム: 5日
- 安全在庫: 20個
発注点 = 10個 × 5日 + 20個 = 70個
在庫が70個まで減ったら発注する、という運用になります。発注した時点で残り70個。届くまでの5日間で50個売れる見込みなので、入荷時には安全在庫の20個前後が残っている——という設計です。
発注点を決めるときの注意
- リードタイムは「実績」で: カタログ上の納期ではなく、実際にかかった日数(検品・棚入れまで含む)を使う。
- 需要は直近の実績で: 季節商品は繁忙期の出庫ペースで計算しないと欠品します。
- 定期的に見直す: 販売ペースや仕入先が変わったら発注点も変わります。「設定して終わり」にしない。
発注量はどう決める?
発注点が「いつ発注するか」だとすると、「いくつ発注するか」も決める必要があります。
- 発注量が少ないと、発注回数が増えて手間・送料がかさむ。
- 発注量が多いと、在庫が積み上がり保管コスト・資金負担が増える。
理論的には両者のコストが釣り合う**経済的発注量(EOQ)**という計算がありますが、実務ではまず「次の発注サイクルまでに売れる量」を目安にし、仕入先のロット単位(1箱=24個など)や送料無料条件に合わせて丸めるのが現実的です。発注量を決めたら、最大在庫(発注直後の在庫)が置き場と資金に収まるかを確認しましょう。→ 適正在庫とは
安全在庫との違い
発注点と安全在庫は混同されがちですが、役割が違います。
| 用語 | 役割 |
|---|---|
| 安全在庫 | 欠品に備えて持っておく「下限の余裕」(量) |
| 発注点 | 在庫がここまで減ったら発注する「タイミングの合図」(量) |
発注点は安全在庫を含んだ水準です。発注点を下回ってから入荷するまでの間、在庫が安全在庫の部分で持ちこたえる、というイメージです。
発注方式の使い分け
発注のしかたには、大きく3つの方式があります。
| 方式 | 内容 | 向いている商品 |
|---|---|---|
| 定量発注方式 | 在庫が発注点を下回ったら、決まった量を発注する | 需要が安定し、発注点を管理しやすい商品 |
| 定期発注方式 | 決まった周期で、その都度必要な量を計算して発注する | 需要の変動が大きい・重要度の高い商品 |
| ダブルビン方式 | 在庫を2つの容器(ビン)に分け、1つが空になったらその分を発注する | ネジ・消耗品など単価が低く数を数えたくない商品 |
発注点が活躍するのは主に定量発注方式です。実務では、ABC分析と組み合わせて——
- Aランク品(売上の大半を占める重要品): 定期発注で需要をこまめに見て発注量を調整
- B・Cランク品: 定量発注(発注点方式)で自動化・省力化
- 最安価な消耗品: ダブルビン方式で管理コストを最小化
——という使い分けが定番です。すべての商品を同じ方式で管理する必要はありません。
在庫管理システムでの発注点
クラウド在庫管理システム「クラプロ」には発注点そのものの項目はありませんが、商品ごとに設定できる 在庫下限 を発注点として使えます。在庫が在庫下限を下回ると 在庫アラート に「在庫不足」として表示されるため、発注点を割ったタイミングで気づいて発注できます。
- リードタイム中の需要+安全在庫を計算し、在庫下限として設定する。
- 在庫アラートの一覧を、そのまま発注リストとして使う。
- レポートで出庫ペースを確認し、発注点を定期的に見直す。
設定方法は利用ガイドの 在庫アラート と 商品の管理 をご覧ください。
発注点に関するよくある質問
Q. 発注点とは何ですか?
「在庫がここまで減ったら発注する」という合図になる在庫量です。リードタイム中の欠品を防ぐためのラインです。
Q. 計算式は?
「リードタイム中の予想需要 + 安全在庫」です。1日10個・リードタイム5日・安全在庫20個なら70個です。
Q. 定量発注と定期発注の使い分けは?
需要が安定した商品は定量発注(発注点方式)、変動が大きい・重要な商品は定期発注が向きます。Aランクは定期、B・Cランクは定量、が定番の組み合わせです。
Q. 発注量はどう決めますか?
発注の手間・送料と保管コストのバランスです。実務では「次のサイクルまでに売れる量」を目安に、ロット単位や送料条件で丸めるのが現実的です。
まとめ
- 発注点とは、在庫がここまで減ったら発注する、という発注の合図となる在庫量。
- 計算は「リードタイム中の予想需要 + 安全在庫」。リードタイムと需要は実績値で。
- 安全在庫は「量の余裕」、発注点は「発注のタイミング」で役割が違う。
- 発注方式は定量・定期・ダブルビンを商品の重要度で使い分ける。
- 在庫管理システムの在庫下限・アラートを使えば、発注点を割ったタイミングの発注を仕組み化できる。
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